タイムラプスとは、一定間隔で一コマずつ撮影した写真を繋ぎ合わせて動画を作る手法です。
登拝する山
静岡側の富士山信仰は、主要街道である東海道が東西を横断していることが大きく影響しています。また、海に面していることから海上交通との関わりももっています。東海道を利用し、特に東海地方から近畿地方を中心とする西国方面から、道者と呼ばれた一般の参詣者が数多く訪れました。
道者は、山麓から山頂を仰ぎ見て崇拝する遥拝にとどまらず、神や仏の住まう富士山の信仰の聖地、山頂を自らの足で訪れること....
海からの富士山
海から雄大な裾野を広げてそびえ立つ富士山。富士山への信仰登山である登拝が盛んであった当時、遙か遠くに富士山を眺めていた人々は、一歩一歩富士山に近づくにつれ、その秀麗な姿に目を奪われていったことでしょう。日本平・三保松原・西伊豆の戸田から駿河湾越しに望む富士山、東側の小山町誓いの丘、南側の茶畑の色が鮮やかな大淵笹場、西側の大沢崩れの谷を望む朝霧高原からの富士山と、数多くのビューポイントをもち、四季や時間帯によって様々な姿でわれわれを迎えてくれます。
撮影地マップ
平地~五合目
富士山の山麓へ訪れた人々は、登山道の起点にある浅間神社でお参りし、山麓に広がる樹林帯の中を進んでいきます。富士山には、日本列島で最も大きな植物の垂直分布がみられ、麓ではシイやカシなどの常緑樹林、1500mまではブナやミズナラ、シラカンバなどの夏緑樹林からなりますが、標高が上がるにつれて、亜高山帯のシラビソ、カラマツなどの針葉樹が混ざってきます。また山麓は雨が多く、樹林帯では樹木も茂って湿気が保持されることから、登山道の足下にコケが繁茂しています。
撮影地マップ
五合目~森林限界(1)
「あたまを雲の上に出し」、雲海を見下ろす絶景に到達すると、巌谷小波作詞の唱歌「ふじの山」で歌われた「富士は日本一の山」を実感します。標高がさらに上がってくると針葉樹もまばらとなり、カラマツなどの低木が主体となります。また、風衝地や荒地といった他の植物が生育しにくい場所に、真っ先に生育し始めるパイオニア植物であるオンダテが多くみられます。富士山の開山期は、夜間に登山者の照らす明かりが山頂へ糸のように続き、背後を振り返ると山麓の街並みや車、工場夜景の明かりを見ることができます。
撮影地マップ
五合目~森林限界(2)
富士山の南東斜面の標高2100m~3150mにかけて、江戸時代の1707年の宝永噴火によりできた3つの火口が並んでいます。これらの火口は、山頂側から順に第1火口、第2火口、第3火口と呼ばれ、一番大きい第1火口の直径は約1.3kmで、山頂火口よりも大きいです。これらの火口からは軽石やスコリアを噴き上げる噴火が半月ほど続き、火山灰は遠く離れた江戸や関東地方にまで降り注ぎました。火口の下には須山口登山道が通っていましたが、噴火の影響で火口を避けた東側に新ルートを造ることになります。
撮影地マップ
森林限界~山頂
森林限界を越えると、天気が良ければ視界を遮るものはなく、山頂まで続く登山道を望むことができます。山頂近くまで登ってくると、箱根山や愛鷹山を眼下に見下ろすようになり、さらに遠くの山々や駿河湾、首都圏まで広く眺望できるようになります。地表は溶岩やスコリアに覆われ、植物はほとんど生えていません。富士山の大部分は1万年前以降の噴火でできた新しい山で、より歴史の長い中部地方の高山に比べるとまだ生き物が住み着いていないといえます。
撮影地マップ
山頂からの風景
富士山頂は八葉九尊が鎮座する登拝の目的地、噴火口の底には富士山の祭神がおわします。現在もご来光を拝むため多くの参拝者が訪れる信仰の原点と言える場所です。山頂は約2300年前に発生した山頂噴火で形作られていますが、この噴火で噴き上がったマグマは、火山弾やスコリアとなって火口縁を厚く覆い、内壁には溶岩湖の名残を見ることができます。「お鉢巡り」は八葉蓮華になぞらえられた山頂周囲を巡拝することがはじまりで、荒巻や東安河原などでは昭和時代中頃まで地熱・噴気があったことが観測されています。
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