育む山
富士山頂は年平均気温が約-6℃で、夏でも平均気温が10℃を越えることはありません。標高が増すほど気温が低くなるため、生えている植物も変化していきます。これを垂直分布といい、標高900メートル以上の山地帯では広葉樹林が見えますが、1,600メートル以上の亜高山帯では針葉樹が中心となり、2,500メートル以上の高山帯にはオンタデなどの高山植物だけになって、3,300メートル以上ではコケ類しか見ら....
駿河湾海底の湧水
展示室にあるQRコードをカメラで読み取って動画をご覧下さい。
富士山はその山麓域に豊富な地下水をもたらしていますが、一部は駿河湾の海底から湧水として湧き出しています(海底湧水)。最新の調査では、この湧水は田子の浦沖西側の水深120~140m付近で確認されており、その化学組成や電気伝導率から富士山の淡水地下水が多く混合していることが分かっています。
富士山の地層と背景の空、駿河湾の海底地形を表現するこの壁面と床面の左官は、左官技能士の挟土秀平(はさどしゅうへい)氏により仕上げられています。造作には顔料は使用せず、すべて天然の土の色合いによるグラデーションです。富士山の背景の空は、赤土が使われています。
豊かな水は、富士山の大きな特徴です。海から蒸発した水は、山の頂(いただき)で雪や雨となり、山肌に染み込んで、何年もかけて山腹や山麓、さらには海底からも湧き出します。この水の循環が、高山帯から駿河湾の海底まで、多くの命を支えています。ここでは、浅間大社の湧玉池と近年発見された海底湧水の映像をご紹介します。富士山のダイナミックな水の循環を感じてください。
富士山の山頂から駿河湾の海底まで、標高別にそこに生息する動物や植物、昆虫、魚類を、アクリル標本や、3Dプリンタによる模型、岩石の標本などで表現し、壁に埋め込むことで富士山の自然環境を示しています。壁のシルエットは等身大です。
水深2,500メートルの駿河湾の海底から、標高3,776メートルの富士山頂にいたるまで、富士山周辺には厳しい自然環境の中でも多種多様な生物が生息しています。
ここでは標高ごとにその一例を紹介します。