美しき山
優雅に稜線を流す富士山の姿は、古来詩歌に詠まれました。『万葉集』に収められた山部赤人の「田子の浦ゆうち出てみれば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」はとくに人口に膾炙したもので、一部改変をされたうえ『新古今和歌集』に再録されます。以後も富士山は和歌や漢詩にモティーフを与え続けるとともに、「羽衣」など謡曲にも登場し、江戸時代以降は多様な文学ジャンルを彩るようになります。
詩歌に詠まれ....
富士に伝わるかぐや姫伝説
静岡県の富士市には、一般に知られる『竹取物語』とはちょっと違ったお話が伝わっています。かぐや姫が月に帰るのではなく富士山に帰り、しかも富士山の神さまだったというものです。
駿河の国、乗馬の里に住む「作竹の翁」は、竹の中から小さな女の子を見つけ、家に連れて帰り、おばあさんと二人で大切に育てました。
女の子はすくすくと育ち、国中に並ぶものがないほど美しい娘になりました....
四季折々、刻一刻とさまざまな表情を見せる富士山の美しさは、古から今に至るまで多くの人を魅了し、絵画や文芸、芸能など、多様な芸術を生み出してきました。
ここでは、5台のモニターをつないだ大画面に、春夏秋冬それぞれの富士山の景色と詩歌や小説の一節が浮かび上がる映像によって、「美しき山・富士山」を表現しています。
世界文化遺産・富士山の「芸術の源泉」とは具体的にどういうことなのでしょうか。
ここでは、富士山にまつわる文学・絵画・芸能・工芸、さらには海外の芸術に与えた影響などを紹介し、美の源としての富士山について解説します。
美しく神秘的で、時に荒ぶる山・富士山は、古から数多の文学を生み出してきました。
ここでは、「富士山のうた」「富士山の物語」「富士山の芸能」「富士山と近・現代の文学」の4項目から富士山文芸の魅力を紹介します。
古来、人々は、富士山に不思議な力を感じ、畏れ敬い、さまざまな物語を語り継いできました。
ここでは「伝説の舞台 富士山」と「『ふじさん』の名前」の2項目から、富士山にまつわる伝説や富士山の名称について見ていきます。
"芸術の源泉"として海外にまで強い影響を及ぼした富士山。ここでは、富士山をめぐる言語・視覚イメージがいかに海外と関係してきたかについて概観していきます。
日本を代表する視覚イメージとして知られる富士山。
ここでは富士山絵画を代表する主題や構図を抽出したうえ、その変容をたどり、各主題に内在する意味をひもときます。
富士山絵画がジャンルとして確立され多彩な展開をみせた江戸時代。本コーナーでは、日本のみならず広く海外に散在する江戸時代の富士山図から150点ほどの傑作を精選したうえ画派ごとに概観します。うち代表的な作品については原寸大で紹介し、実作品を前にしたような臨場感を楽しんでいただきます。富士山図の魅力を体感しましょう。
古典芸能においても、富士山は重要なモチーフです。
ここでは、ユネスコ無形文化遺産「能楽」に表現された富士山について、「富士山」「生贄」「羽衣」の三つを取り上げ、伝説の物語と舞によって構成される能の世界を紹介します。